永田潤子のコラムウェブサイト
まずは、ひとつのお話から。
あるところに、父親と暮らす娘がいました。
父親は商いのために町の高利貸しからお金を借りました。しかし、商いは上手くいかずに借金は膨らみ、とうとう、高利貸しから借金のかわりに娘を嫁に差し出すことを迫られました。
親子は返済期限の延長を懇願したところ、高利貸しは白や黒の小石がごろごろしている地面から2つの小石を取り上げ袋に入れ、娘に言いました。
「袋の中から石を一つ選びなさい。もし、その石が白だったら借金は全て帳消し、黒だったら私のところに嫁ぐように。」と。
しかし、娘は見てしまったのです、高利貸しが2つとも黒い石を入れたことを。
でも、娘は怖くてそのことを言いだせません。
さて、娘はどうしたでしょう?(あなたならどうしますか?)
その1:「2つの石が黒であることを言いだす。」
(人生の一大事。怖いなんて言っている場合ではない、戦う)
その2:「今の石ではなく、袋に入れる石は自分で選ばせてほしいと提案する。」
(少しでも、状況を改善すべく努力する)
その3:「泣く泣く、この状況を受け入れる」
(状況は変えられないとあきらめる)
場面は戻り……娘は、袋に手を入れ取り出しました。そして、相手に石が見えないように地面に落して、言いました。
「緊張していて石を落してしまいました。でも、袋に残った石を確認してください。そうすれば、私の選んだ石の色がわかるはずですから。」
うーん、その手があったか!
私達は、通常、限られた枠の中で答えを探そうとする。
それを意思決定の世界では、「Habitual Domains(ハビチャル・ドメイン)」といい、習慣的にしている思考の枠組みのことだ。大学院時代、このハビチャルドメインの翻訳本を日本で出版すべく、指導教授のお手伝いをした時期があった。
残念ながら出版は実現しなかったが、「わたしたちは自分で作った檻や箱の中でモノを考えているかもしれない」と強く感じたきっかけで、その思いはさらに深いところにある、スコトーマ(心理的盲点)を観るコーチングへと続いていて、それは本当の自分に出合って行く旅のようにも感じている。
CATEGORY : あなたの知らないスコトーマな話
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